“おいしい”色ってどんな色?

人が“おいしい”と感じるとき、実は五感のなかで視覚が大きな影響を与えているということをご存知でしょうか? 人は無意識のうちに見た目で“おいしさ”を判断し、“どんな味か”を予測しています。 そして、期待以上の味を感じたとき、よりいっそう“おいしい”と感じることでしょう。 飲料の色は、味を想像させ、食欲を刺激するうえで、とても重要な要素です。 おいしさと色の秘密を探り、“おいしい色”について考えていきましょう。

話を聞いた人

  • アサヒ飲料(株)
    商品開発研究所

    柴田 裕介さん

色とイメージの関係

料理が運ばれてきたとき、思わずこぼれる「おいしそう!」という言葉。私たちは口に含む以前に、視覚でとらえた段階から、すでに味わうことを始めているのです。それは飲料でも同じ。グラスに注がれた飲料を「おいしそう」と感じるとき、頼りになる情報は液体のみ。そこでは、無意識に様々な情報を結びつけて判断が行われます。

例えば、「リンゴジュース」と聞いて、大人はカットした果肉の淡い黄色をイメージするのではないでしょうか。一方、子どもの発想はストレート。絵本のなかで描かれるような果皮の赤い色のイメージにつながるようです。このように、同じリンゴでも、それまでの経験に応じてイメージする色が変わることがあります。

この色とイメージの関係は、飲用シーンやベネフィットにも作用します。オレンジジュースを例に想像してみましょう。忙しい朝の時間には、朝食に一品添える代わりに、果実を丸ごと搾ったような濃い液色に惹かれます。一方、スポーツの後には、喉の渇きを一気に癒すような爽快感を求め、すっきりクリアな液色を求めているようです。

私たちは、その時々の『気分 』から、無意識に欲する『イメージ 』を思い描き、そのイメージを構成する大事な一要素として『色 』があるのです。

おいしい色はどうつくる?

飲料開発者たちは、そんな『色』と『イメージ』の関係性を利用して、商品設計をしています。どんなお客さまに、どんなシーンで、どのように味わい、どんな気分を感じてもらいたいのか、想像を膨らませます。そうして見えてきたコンセプトをもとに、具体的な商品にどう落とし込んでいくのかは、開発者の腕の見せどころ。長年の経験で蓄積された知識とノウハウだけでなく、好奇心もフル稼働して、原材料を選び、製法を考え、つくっては試しを繰り返します。

味や香りだけでなく、見た目も重要です。色以外にも、濁りの程度、粘度、果実の粒々(さのう)や繊維(パルプ)の有無などにより、見た目から受ける印象は大きく変わります。どっしりとした濃厚な印象を与えたいときには濃縮果汁を用いて濃度を上げたり、ペクチンを加えて粘度を上げたり。果汁をそのまま搾ったようなフレッシュ感を出したいときには、さのうやパルプを加えたり。すっきりした味わいを演出したい時には果汁をろ過した透明感のある果汁を使用することも。

コンセプトに沿った見た目と味に近づけるために試作を重ね、さらに官能評価を繰り返します。見た目がコンセプトに一致したとき、ついに商品は完成するのです。

シーンに合わせて選べる楽しさ

〈ウェルチ〉シリーズは、「忙しい女性の休息タイムにぴったりな飲料」というコンセプトのもと、お客さまの飲用シーンに合わせ、様々な商品展開をしています。

濃厚な液色が特徴の、〈「ウェルチ」グレープ100〉。その濃い液色は、コンコードグレープをたっぷり使用した贅沢感と、ポリフェノールの濃さを想起させ、くつろぎの時間に丁寧にグラスに注いで、気分をリフレッシュしてほしいという、開発者の想いが込められています。

〈「ウェルチ」フルーツウォーターレモン〉は、ほんのりと黄色く色づいた透明度の高い液色です。レモンの果肉の爽やかさを想起させることで、ちょっとひと息ついてリフレッシュしたいときや水分補給したいときに、ごくごくと飲めるすっきりとした味わいを演出しています。