【研究者が語るミライ】小杉 亘 さん

“うまい”の秘密を科学で解き明かし、新たなおいしさをつくり出す研究に日々励む研究者たち。 ミライの“うまい”を探求する研究者だからこそ、見えるミライがある。

話を聞いた人

  • アサヒ飲料(株)
    研究開発戦略部

    小杉 亘さん

今回は、人の気持ち(感性)を科学的に紐解き、商品開発につなげる手法の確立を目指す、アサヒ飲料(株)研究開発戦略部の小杉亘さんにミライを語ってもらいました。

研究者が語るミライ|小杉 亘 さん

「人間が認識していない『無意識』や『数値化が難しい経験から来る知識』などに焦点を当て、脳や心の動きから深層心理を探る。そうすることで、お客さまの気持ちに寄り添った商品をつくることができるのではないか」そんな思いからはじまった、小杉さんの研究。

飲料の企画・開発プロセスにおいて、おいしさを評価するとき、実際に飲料を飲んでもらい、その印象をアンケートやインタビューによって聞き出し、評価を行う手法が用いられます。しかし、こういった実感評価は、ユーザー本人が明確に感じていること・意識していることを元に調査するため、無意識に感じていることや、その瞬間に感じた気分を明らかにすることは困難です。

そこで、生体信号(脳波)の情報を詳細に解析し、どのような気分なのかを測定する研究に取り組んでいる、慶應義塾大学と共同研究をスタート。脳波のデータを収集・解析し、飲料を飲んだときに「実際はどんな気分なのか」を数値化することに取り組みました。その結果、サイダー香料などを使用した透明炭酸飲料を飲むことで「爽快な気分」が、スッと飲めてキリッとした苦味を持つタイプのブレンド缶コーヒーの飲用後は「前向きな気分」が高まることを、客観的な数値で実証することに成功しました。

飲用時の脳波を測定している様子

「今後は、これらの気分がどんな感覚刺激によってもたらされたのかを解明していきたいです。気分を客観的に『見える化』し、その要因を解明していくことで、お客さまが本能的に欲しているものの本質を見極め、商品に活かすことができると考えています。お客さまの感性に直接訴えかける商品を生み出し、期待を越えるおいしさをお届けしたいと思っています。」

関連リンク

■アサヒ飲料 研究開発サイト
https://www.asahiinryo.co.jp/rd/