【研究者が語るミライ】田手 早苗 さん

“うまい”の秘密を科学で解き明かし、新たなおいしさをつくり出す研究に日々励む研究者たち。ミライの“うまい”を探求する研究者だからこそ、見えるミライがある。

話を聞いた人

  • アサヒ飲料(株)
    商品開発研究所

    田手 早苗さん

今回は、多様化する人間の嗜好をひも解き、商品開発につなげる官能評価の技術開発を行う、アサヒ飲料(株)商品開発研究所の田手早苗さんにミライを語ってもらいました。

研究者が語るミライ|田手 早苗 さん

官能評価とは、人が五感を用いて物の特性を評価する方法で、食品業界では商品開発のプロセスで必ず用いられています。基本的な手法として、1品だけを評価する絶対評価、2つを比較する2点評価、何品かに順位をつける順位法などがあります。

官能評価は、以前は開発者が独自の基準で評価を行っていました。田手さんは、当時のカルピス社で官能評価手法を社内で統一し、より正確な評価方法を確立するプロジェクトに立ち上げ当初から携わり、今ではアサヒグループの官能評価技術の導き手とも言える存在。多様化する人々の嗜好や飲用シーンに対応すべく、新しい評価技術の開発にも注力しています。

実際に評価が行われる官能評価ブース

例えば、田手さんが他のメンバーと共に開発したIF-THEN 評価法は、「運動後」、「仕事中」、「帰宅後」などの飲用シーンを写真と文章の組み合わせによりイメージしてもらい、そのうえで飲料を飲んで評価する方法です。条件設定を細かく行い、評価者にイメージしてもらう、というこれまでにない方法でしたが、より実際の飲用シーンに近い結果が得られました。

トレンドや嗜好の変化にも対応し、進化していく官能評価ですが、その面白さはズバリ「人を知ること」だと言います。

「おいしさの要因は本当に千差万別。飲み物が冷たいか、ぬるいかでも違いますし、ストレスを感じているときに飲むのと、楽しい気分で飲むのとでは、やっぱり違いますよね。お客さまの環境や、そのときの気分、体調、食べ合わせなど、細かいシチュエーションごとに、人がどんな味を感じるようになるのかを評価できる手法を確立し、今のその人にとっての最適なものを提案するのが夢です。お客さまが笑顔になれるための商品開発を支えたいと思っています」。

関連リンク

■アサヒ飲料 研究開発サイト
https://www.asahiinryo.co.jp/rd/